反応工程における統計的工程管理

研究背景

 主に機械加工工程を中心に発展してきた統計的工程管理(Statistical Process Control;SPC)とは,
統計的手法を活用し,製造工程における品質(製造品質)を向上させる管理活動のことです.
 一方,チューニング(工程調節)を駆使した自動制御(Automatic Process Control;APC)は,化学
反応工程で発展してきた経緯があります.
 そのため,SPCとAPCを融合した化学反応工程に適した統計的工程管理は現在のところまだ確立
されていません.

研究目的

 化学反応工程の中でも半導体製造工程に対象を絞り,統計的工程管理の代表的ツールである
管理図の開発や活用方法を見出すことを主目的としています.
 しかし,管理図に固執することなくそれ以外の統計的工程管理手法についても研究を行っており,
複合的観点からいかなる管理活動が製造品質向上に有効であるかを追及しています.

研究方法

 半導体メーカーと共同で研究を進めています.製造工程から得られたデータを解析しながら各工程の
特徴を洞察し,個々の工程に適した統計的工程管理手法の開発や活用方法を考案しています.
 毎月,半導体メーカーの技術者の方々と研究内容について議論を交わし,学術的にはもちろんのこと
実務的にも役立つ研究成果を目指して日々研究に打ち込んでいます.

研究事例

Reconsideration of Control Charts in Japan

K.Nishina,K.Kuzuya,N.Ishii(2006):Frontiers in Statistical Quality Control, Vol. 8

半導体製造における統計的工程管理に有効なモデル構築と統計的工程管理のライフサイクル

川村大伸,仁科健,東出政信,嶋津康治,中山税(2005) :日本品質管理学会第35回年次大会
 本研究では半導体製造工程を事例とし,機械加工工程と比較することで統計的工程管理を困難に
しているプロセス工程の特徴をモデル化した.また,製造の立ち上げ期から量産安定期までの一連の
経過を“統計的工程管理のライフサイクル”と呼び,各期におけるあるべき統計的工程管理を示した.